北海道勤労者医療協会
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「痛み止めだけ」検査を拒否。その背景には厳しい生活実態

 給食費や教材費などを、行政が肩代わりする修学援助を受ける児童が札幌市内でも最も多いのが札幌病院のある地域の周辺です。
 秀一君(当時中学生=仮名)は就学援助を受けていた一人でした。母親(40代)はうつ病の持病を持っていて働けない状況。糖尿病の持病があるタクシー運転手の父親(50代)の収入だけが一家の生活の支えでした。しかし、長引く不況によるタクシー利用者の減少によって父親の月収が10万円を切ることも…。秀一君の一家も蓄えを切り崩し、食事を節約しながら厳しい生活を強いられていました。
 ある日、秀一君が激しい腹痛を起こして母親と受診。治療の必要性と原因を突き止めるためにレントゲンや血液などの検査を勧めたのですが、治療費が支払えないので「痛み止めだけ出してほしい…」と言って検査を拒否…。看護師からの連絡を受け相談室で事情を聞いたところ、日々の生活費だけで精一杯、秀一君も就学援助を受けて学校生活を送っていることがわかりました。医療費を支払う余裕がないことがわかり、無料・低額診療制度を紹介して、検査や治療を受けていただくことが出来ました。
 父親も経済的な問題から高血圧の治療を中断していることも判明。秀一君と一緒に無料・低額診療制度を利用し治療を続けることになりました。
  「就学援助がなければ子どもを育てられない状況だった。生活が苦しくて、息子は週1回しか風呂に行けない…」、と父親は打ち明けていました。
  「医療現場から垣間見る貧困」は、私たちの予測を超える厳しい実態があることを胸に刻みました。