北海道勤労者医療協会
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在宅復帰に挑む老人保健施設柏ヶ丘 (2)
北海道民医連新聞 2009.11

 「在宅復帰の障害は私たちが利用者の思いに蓋をすることだ」。Aさんの姿を目の当たりにして職員の意識が変わりました。以後カンファレンスには利用者にも参加してもらい、その声に注意深く耳を傾けました。入所目的が「特養待機」となっている人からも「出来るなら家に戻りたい」「外泊だけでもしてみたい」という本音が聞こえてきました。
 担当制を導入し、利用者の思いをケアブランに生かす試みもはじめました。在宅復帰、外泊件数は飛躍的に増えました。吉田さん(5年目ケアワーカー)はいいます。「外泊や家庭訪問を通して、利用者さんを人生的な深みを持って捉えられるようになりました。入所者さんの願いを聞き流さず、可能性が少しでもある人は、『帰せないだろうか』と情報発信するようになりました。他のスタッフも同じだと思います」。
 終末期の利用者の一時帰宅にも積極的に取り組みました。職員が負ぶい紐で背負って狭い外階段を上り、半日を自宅で過ごしてもらった利用者もいました。人手がない時には公休の職員がボランティアを買って出ました。「こんなことまでしてくれるとは思わなかった」と涙を流す利用者や家族の喜びが励みでした。

新たなやり甲斐

 老健の職場は過酷です。柏ヶ丘では日中は40人の利用者をわずか3、4人の介護職員でケアしています。介護主任の佐藤さんは、「外泊援助も、これがどうしてボランティアなんだろうという思いがありました。でも、職員が頑張らなければ実現できなかった。こうした取り組みを通して、在宅調整をチームとして学んでゆきました」と振り返ります。
 排泄介助と食事介助に忙殺され、「老健とは何だろう」「ケアワーカーの役割は ?」と思い悩む職員に、在宅復帰をめざす取り組みは新たな意欲と、やり甲斐をもたらしました。「在宅復帰しても絶対に安全などということはあり得ません。事実Aさんも自宅で転倒し、手首を骨折しています。でも、私たちが『帰そう』と決意しなければ施設で人生を終えていたかも知れません。責任の重さを感じます」と佐藤さんはいいます。
 老健柏ヶ丘では今も、担当する利用者さんの在宅復帰を目標に掲げた職員の奮闘が続いています。

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