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謝れ、償え、なくせ原発−福島からの報告(1)
北海道民医連新聞 2011.10

「原発震災」現地福島からの報告/原発問題全国センター代表委員 伊東達也さん

  9日、札幌市内で開催された「フクシマから原発とエネルギーを考える全国交流集会」で行われた、伊東達也さん (元福島県議、原発問題全国連絡センター代表委員)の特別報告(要旨)を紹介します。

世界初の原発震災

 3月11日に発生した東日本大震災は、福島県にも甚大な被害をもたらしました。東電福島第一原発が炉心溶融という苛酷な事故を起こし、大量の放射線物質を放出したことが被害を何十倍にも拡大し、深刻なものにしています。原発の苛酷な事故は、世界で3回目 (スリーマイル、チェルノブイリに続き)ですが、地震を引き金とした「原発震災」は世界初です。
 この事故によって、政府の避難指示で12市町村の10 万人以上がふるさとから逃げなければならなくなり、47都道府県へと散り散りバラバラにされてしまいました。避難指示区域以外で居住地を離れた人は20万人にも上るとさえ言われています。
 さらに、放射能汚染は農林水産業から商業、観光業、工業、医療福祉、教育などあらゆる分野に被害をもたちしました。
 失業者は、震災から4ヶ月後の7月で4 万6000人が確認され、その後も増え続けています。県内の経済活動は停滞し、人口流出もすすみ、まさに「縮む福島県」となっています。
 そして、この被害は福島県にとどまらず広範囲に広がっています。ホットスポットは関東地方にも現れ、数百万の人々に健康不安を与えています。
 農畜産物の汚染は、岩手県の牧草から静岡県のお茶に至るまで半径500キロメートル以上にもおよんでいます。海洋汚染の範囲は予測さえつきません。
 このように、原発震災は、被害額の大きさ(数兆円といわれますが、最終的にはその数倍になるのではないか)、今後の復旧・復興にかかる時間の長さなど、どこから見ても、史上最大、最悪の災害です。

基礎知識すらなく

 放射能について、「情報隠し」と、県民に基礎知識がなかったことが、事故後のパニックに拍車をかけています。事故直後から、放射性物質がどのように拡散しているのか、精密な予測図(スピーディ)があったにもかかわらず、政府は10日間も公表しませんでした。その結果県民の被曝をひどくしました。
 また、県民には長く「原発事故は起こらない」と宣伝されてきた結果、「起こらない事故に

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