弱者が負担するしかない消費税
10%に値上げされ、実際価格に上乗せされたら消費が落ち込み、逆進性の問題も生じます。しかし、価格競争で物価が上がらないところもあります。その場合、企業は消費税増税分を負担しなければなりません。そのため、出入り業者を泣かせたり人件費を削って対応します。これができない零細業者はつぶれるしかありません。
値下げ競争も生まれます。消費者は物価が上がらなくてよかったと思うかもしれませんが、泣かされている企業の社員は給料が下がります。その原因が消費税増税にあるとはわかりません。このように、弱い方弱い方に押しつけられるのが消費税の本質です。卑劣な税制です。
派遣労働者雇って節税
労働者にも影響があります。20代で非正規労働者が
40%と言われています。消費税は、商品を販売したときに預かった消費税から、仕入れ時に支払った消費税を控除して税務署に支払います。派遣労働者を雇った企業は、派遣会社への支払いでその消費税分を仕入れ控除でき節税することができます。財界が消費税増税を支持する理由の一つです。増税されると非正規社員はますます増えるでしょう。
消費税増税で儲かる大企業
もう一つ問題があります。消費税は国内の取引にかかるため、輸出企業は消費税を上乗せできず損をするという理由から、輸出企業に消費税分の5%を還付しています。2007年度でトヨタ自動車は消費税を
3219億円も還付してもらっています。上位10社だけで1兆1450億円です。しかし、多くの輸出企業が下請けを泣かして消費税を払っていませんから、この還付はまる儲けになります。消費税が10%になったら、トヨタは6000億円の儲けになります。財界が消費税を上げたい直接の理由はこれです。
大蔵官僚も認めた財政危機のウソ
こう話すと反論がでます。「財源をどうするのか」と、「ヨーロッパはもっと税率が高い」ということです。
政府の財政危機は本当でしょうか。政府税制調査会会長だった加藤寛さんに話を聞いたことがあります。