生活保護費は高すぎる?
生活保護の基準額は、今年も含め9年連続ゼロ改定です。上がりも下がりもしていません。その9年前の2年間は、戦後初めて基準額が下がった時期です。つまりここ11年連続で生活保護はゼロ改定か下がるという状態になっています。基準額を下げうという声が自民党や政府から出ていますが、もともとあがっていないのです。
「生活保護費と最低賃金が逆転している」と注目を浴びるようになり、2008年に最低賃金法が改正され「労働者が健康で文化的
な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」という条文が加わりました。大変
いい改正です。その後生活保護との格差を埋めるように最低賃金の上げ幅が拡大してきています。
保護利用者が多すぎる?
ドイツは人口も経済力も日本の3分の2です。ドイツでは、日本でいう生活保護を受けている人が800万人います。「増えすぎだ」と大騒ぎしている日本は200万人です。日本では生活保護利用者が国民100人のうち1〜2人いる状態ですが、ドイツは100人中9人は生活保護を受けています。
日本の税収は1年間で40兆円、ドイツは60兆円です。人口規模では3分の2なのに、税収は1.5倍です。社会自体がある程度納税の痛みに耐えていて、日本以上の税収規模を実現しています。それは、その分を社会保障給付として国民に返しているからです。こういう循環をきれいにつくっていかないといけないと思います。
ドイツの社会保障給付は76兆円ですが、日本でいう生活保護に4.6兆円を支出しています(日本では「3兆円の衝撃」)。ひと言でいうとわれわれ資本主義国家でやっていますから、貧乏人は必ず生まれてきます。そういうシステムが絶対にあります。そこの手当を考えないと資本主義を続けていくこきは無理です。
ですから、そこの手当は社会制度でこなしていくしかないと思います。将来、生活保護に5兆、10兆円が必要なときが来るかもしれませんが、それは決してお金を垂流しているわけではありません。生活保護は、最低生活を支える最後のセーフティネットですから、「お荷物」感や「負担感」というのは、考え方を変えた方がいいのでないかと思います。
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