北海道勤労者医療協会
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いま問われる看護の原点−川嶋みどりさん講演(3)
北海道民医連新聞 2011.07

護がなぜ必要なのかをみんなが認識・自覚して、人々に伝えていかなければいけません。看護実践能力を高める教育と訓練が非常に求められていますが、学校が増えた割には、そこが一番欠けています。教育は一生懸命でも、トレーニングと実習が少ないため、技術が身につかない。だから行う看護が上滑りになってしまい、看護の魅力を感じられなくなるのだと思います。
 いま、看護職と介護職があります。看護が介護をしなかったから、制度上の介護が作られたと私は思っています。制度も教育も違い、役所の管轄も医療と福祉に分かれていることは、利用者にとって不幸なことだと思います。医療機器が高度になり、何でもかんでも機械でコントロールする今こそ、看護実践を支える「生命観・人間観・看護観」といった哲学が求められています。それを踏まえて日々の技術を高め、看護師の全身と全人格を投入して人間をケアすることが重要です。

被災地の医療と看護に希望

 大震災がおき、私は4月に被災地に行きました。避難所で、全国から来た医師たちが一人ひとり問診している姿を見て、「ここに医療の原点がある」と思いました。高度医療は無いけれども、自然の回復過程を整える看護が十分に発揮できたら、被災者を救うことができます。この震災支援を通じて、看護の原点に戻って新しいことができるのではないかという希望を見出しました。
 これからの看護は、全ての人が持っている治す力を育み癒す看護療法を開発すること、そして、看護の知恵を医療に活かす責任があります。患者自身の苦しみをともに背負い、生きる歓びに転換することは被災地ケアでも絶対に必要です。
 看護の活躍の場の広がりを視野に入れて、これからの看護に発展させていかなければならないと思います。私は、「TE-ARTE (てあーて)」という言葉を世界中に広めようと思っています。看護師の原点は、触れ、癒し、慰める手にあるのです。

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