高血圧症で札幌クリニックを受診しているAさん(51歳・男性)は、日頃から中断しがちでした。昨年12月、風邪をこじらせて受診したAさんのひどくやつれた様子に、坂本和利院長が生活状況をたずねると、お金がなくて1日1 食から2食の生活が続き、体重は落ちる一方ということでした。
そこで改めて、石井広史事務長が無料・低額診療の活用も視野に入れて話を聞くことになりました。
Aさんは3年ほど前に会社をやめて、埼玉県から北海道にやってきました。ハローワークに通っていますが、51歳では仕事がなかなか見つかりません。やっと見つけたコンビニのアルバイトは深夜0時から6時まで働いて、月の収入は8万円程度、3万6千円の家賃を支払うと暮らしていけません。
東京に住む弟さんから月2万円の仕送りを受けて何とか生活していました。しかし、最近、弟さんの生活も大変になり、「仕送りはもうできない」と言われたそうです。
収入が少なくても国保料がかかり、受診するときの自己負担額を払うお金もない状態でした。
北海道にきてから、パソコンの出張修理の仕事をしたこともありますが、出張旅費も自己負担となるなど契約先からは約束した給料が支払われませんでした。退職金などの蓄えは使い果たし、カードで借金を重ねていましたが、このままではいけないと思い悩んでいたところでした。
札幌クリニックでは、当面の医療費を無料・低額診療で対応。生活と健康を守る会と連携し、生活保護を受給することができました。Aさんは、何とか生活を立て直そうとハローワークに通っています。
いま、「製造業派遣・請負労働者40万入が失業」という業界試算が報道されるなど、年度末を前に雇用不安が広がっています。北海道で苦境に直面している人を直接サポートしようと、道労連や社保協、北海道勤医協も参加し、各界の団体が共同して「雇用・くらし・SO Sネットワーク」を立ち上げます。