陸路200㎞を20分、勤医協中央病院と連携
2017年7月、くろまつないブナの森診療所で心筋梗塞と診断された患者さんが、ドクターヘリによって黒松内町から丘珠空港まで搬送。勤医協中央病院で緊急治療した結果、後遺症もなく2週間で退院することができました。早期の対応と連携で、患者さんの命が救われました。
朝、突然胸が苦しく
黒松内町で一人暮らしの88歳になるAさん。7月8日の朝、起きると胸がとても苦しく、向かいのお宅に助けを求めて、同診療所まで連れて行ってもらいました。
診察した寺田豊医師は、心電図検査の結果から心筋梗塞と診断。カテーテル検査ができる循環器専門医のいる病院への救急搬送が必要となりました。Aさんは、勤医
協中央病院に入院歴があり、娘さんも札幌在住のため、同院を希望。寺田医師は、ドクターヘリによる同院への救急搬送を決断しました。
ヘリ要請の連絡
午前11時過ぎ、寺田医師は、まず119番通報しドクターヘリを要請。
その後、中央病院の医師に直接電話し、札幌丘珠空港での患者引き継ぎと、循環器医師の待機について確認しました。
そして、ドクターヘリの基地病院である手稲渓仁会病院の担当医にその旨を連絡。黒松内消防署には、救急隊の出動と同時に札幌の救急隊への連絡を依頼。ご
家族に連絡してドクターヘリによる搬送と中央病院への緊急入院を説明して了解をいただき、その上で改めてドクターヘリの運行を確認しました。
早かった診断と治療
正午前、診療所から患者を乗せた救急車が黒松内町ヘリポートに到着。直後にドクターヘリも到着し、同乗してきた医師2名に引き継がれ、直ちに出発しまし
た。ヘリは、陸路200キロを約20分余りで丘珠空港に到着。待機していた中央病院の医師に再び引き継がれ、札幌市消防局の救急車で同院に搬送されました。
午後1時には病院に到着し、直ちに治療が開始されました。
Aさんは、2週間で心筋梗塞の治療を終え中央病院を退院。現在は在宅復帰にむけ、勤医協札幌西区病院に転院して療養を続けています(2017年10月時点)。
「後遺症もなく、助けられた」
今回は、早期の診断・治療が功を奏しました。Aさんは「皆さんのお陰です。後遺症も残らず、本当に良かった。皆さんに助けられた」と明るく微笑みます。
寺田医師は今回の出来事をふり返りながら話します。
「もしも対応が遅れていれば、重大な事態になっていたかもしれない。今回は、患者さんとご家族の思いも受け止めながら早めの対応ができ、命を救うことにつながりました。特に、中央病院が電話1本で受け入れを決めてくれたこと、消防隊やドクターヘリの連携がスムーズに行われたことが、本当に力になりました。重篤な病態にも、対応できる勤医協の連携は強みです」。