新形コロナとのたたかい 勤医協中央病院
新型コロナウイルス感染拡大が始まって2年。勤医協中央病院は対策本部を設置し、「誰もが感染している可能性がある」ことを前提に、すべての職員が感染対策を徹底。緊張が連続する日々を支えあいながら乗り越えてきました。(北海道民医連新聞 2022年1月1日号)
「以前はどのよぅに感染症を恐れればいいのか分かりませんでした。私たちがしてきたことの積み重ねが実績になり、新型コロナウイルスに感染した患者さんが来てもしっかり対応できるようになりました」と、感染症病棟の看護主任は話します。
2020年6月に新型コロナ専用病棟を設置し、感染した患者を受け入れてきました。病室前にガラスドアを設置し、出入りする職員は毎回、決められた手順でPPE(個人防護具)に身を包んで患者さんのもとに向かいます。タブレット端末で医師や看護師と会話できるようにして患者さんに安心してもらうなど工夫しています。これまでに認知症の高齢者や言葉が通じない外国人など、さまざまな患者さんが入院しましたが、イラストで説明するなど対応してきました。こうした経験の積み重ねが力になっています。新型コロナ専用病棟からはこれまでに一人も感染者を広けていません。
感染症に立ち向かう組織を編成
感染対策の要となったのは感染症の知識と経験を有する医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師の多職種で組織されている感染対策チーム(ICT)です。病院管理部とICTコアメンバーによる拡大ICTを立ち上げ、新型コロナウイルス感染症に対応できるように院内の感染対策整備やマニュアル作成をおこないました。ICTと現場をつなぐのは21人のリンクドクターと62人のリンクスタッフです。それぞれの部署で感染対策の中心になり、感染対策の知識と技術を院内のすみずみまで浸透させました。
助けあって感染対策
「誰かが頑張ったのではなくすべての職員が力を合わせて現場を守ってきました」と、感染管理認定看護師。患者さんと職員を感染から防ぐためには、すべての職員で助けあうことが必要でした。マスクとフェイスガードを着用し、感染対策を徹底。正面玄関前に体温測定器や手指衛生剤を設置しました。救急外来では感染症専用出入口を活用して発熱のある患者さんの導線を整理し、一般外来患者さんと交差しないよう工夫しました。
2020年5月には院内クラスターが発生しますが、感染拡大防止に全力を注ぎました。
職員は密にならないように休憩室を分散し、不要不急の外出、歓送迎会行事の中止など医療従事者として行動自粛を続けています。
歓送迎会は小規模なセレモニーをおこなうなど、各部署で工夫してコミュニケーションをとっています。
鈴木隆司院長は、「ここまでの2年間はとても長かったですが、職員は本当によく頑張り、よく辛抱しています。第5波が終わり日常生活の制限を少し緩めましたが、ウィズコロナの生活はまだまだ続きます。病院を守る対策を継続しながら、職員にはコミユニケーションの機会もできる範囲から増やしてほしいと思っています」と話します。