名前も年齢も不明の路上生活者 救急搬送から2日後に死亡

2024-03-27 ニュース

手遅れ死亡事例2023


病院に搬送されてきたときには手の施しようがなく、入院後まもなく亡くなる痛ましい事例があとを絶ちません。どんなに痛くても辛くても、どこにも助けを求めることができなかった人がいます。私たちにできることは何でしよぅか。
手遅れ死亡事例を紹介します。

名前も年齢も、何もかもわからないその男性は、札幌大通り公園やススキノ周辺で20年ほど路上生活をしていました。
昨年3月、勤医協中央病院に救急車で搬送されてきたときには、寝たまま全く動けず、言葉を発することもできません。路上生活者支援団体の職員によると、10年以上前から発語ができなかったといいます。本人に判断能力はなく、代理人もいない、社会から孤立した状態で路上で生活していました。
縮れた髪の毛が腰まで伸びていた男性は、他の医療機関の診察券を所持していました。しかし調べると、他人の診察券を持っていたことが判明。結局、名前も年齢も分からないままでした。
CTなどによる診断は肺癌。切除不能で、非常に重篤な状態でした。
医療福祉課・ソーシャルワーカーの担当者は、生活保護の申請と同時に、逝去時の対応について東区役所へ行旅死亡人(*)の対応を依頼しました。しかし札幌市では、生活保護申請をすると行旅死亡人ではなく、葬祭扶助が優先されるといいます。葬祭扶助の場合は警察から「火葬許可証」が必要になります。警察が身元不明の方の火葬許可証を出すためには警察の調査票が必要になり、警察が調査票を作るためには、検死が必要です。

ソーシャルワーカーは、「まったく身元が分からず、意思の疎通もできない方の対応は当院としてもおそらく初めての経験で、いろいろ調べたり各方面に問い合わせてなんとか調整しました」と苦労を話します。
入院から2日後の16日、男性は朝6時から意識レベルが低下し、残念ながらその夜に亡くなりました。
「ホームレス状態であっても、生活保護を受けていなくても保険証がなくても、どこかで受診できる機会があれば早期発見ができたかもしれません。そもそも人々がホームレス状態にならないような政策や制度、支援が必要です。事情があつてホームレスになつたとしても、早期に介入してこうした事例を防ぐことが求められます」。担当したソーシャルワーカーは話します。

★行旅死亡人(こうりょしぼうにん)行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称。遺体の特徴、衣服、所持品や死亡推定日時などが官報に掲載され、地方自治体が遺体を火葬し、引き取り手を待つ手続きを行います。国内で毎年数百人が認定されています。