子育てをしっかり支援 産後ケア

2024-06-07 ニュース

「ゆっくり休めた」 勤医協札幌病院産婦人科

 育児中の母親を支環しよぅと、勤医協札幌病院の産婦人科では昨年12月から「産後ケア」をはじめました。これまでに28人が利用し、「話を聞いてくれて助かった」「久しぶりによく眠れた」と喜ばれています。

 「抱つこ紐の使い方がわからない」「ミルクはどのぐらいあげればいいの?」「育児に追われて眠れな
い」。育児をしていると、わからないことや困りごとがたくさんでてきます。
パートナーや近所の人に頼ることもできず、精神的な不安から育児放棄などの悲しい事故につながることもあります。
 札幌病院・助産師の一人は、「家族と疎遠になるなど、周囲からサポートがない環境で子育てをしている若い母親がたくさんいます。当院ではこれまで産後訪問で体重測定などの健康チェックをしていましたが、出産後も継続的に子育てをサポートをしていきたいと思っていました」と話します。

 2019年に母子保健法が改正され2021年度から生後6力月未満の育児等の支援が必要な方を対象にした「産後ケア事業」の実施が市区町村の努力義務になりました。札幌市は2016年9月から産後ケア事業を実施し、市内10力所の助産院に委託してきました。市民からの強い要望を受けて、2023年12月から病院にも事業の実施を募り、現在、札幌市と近郊の23病院・助産院で産後ケアが実施されています。

 勤医協札幌病院は2023年12月に病棟の一室を改装。職員がカーペットを敷き、遮光カーテンや子どもの玩具などをコツコツと準備して産後ケアをはじめました。生後6力月までに7回利用でき、生活保護や非課税世帯は1000円、課税世帯は1回2500円の自己負担です。「札幌病院ではインスタグラムで休浴などの動画を見られるようにしています。電話で予約をとることが苦手な方も多いので、LINEを使って登録できるようにしました」と助産師はいいます。

 11時に親子で来院し、職員が悩みごとやケアしてほしいことを聞きとります。12時のお昼ご飯は栄養科と相談して、栄養バランスを考えた特別食を用意。「美味しいし、こんなにゆっくりご飯を食べたことがなかったから嬉しい」と喜ばれています。食後は希望に応じてゆっくり休んだり、子育ての困りごとや日頃の悩みを聞くなど、心身が癒されるケアを心掛けています。多くの利用者が休息することを希望します。ナースステーションで赤ちゃんをあずかり、安心してゆっくり休んでもらいます。

 利用者は、「超よかった!また来るね一」「次の予約していっていいですか?」とリピーターに。4階病棟助産師主任は、「美容室やカフェのような感覚で使っていただいているよぅで嬉しいです。休浴や授乳が無理なくおこなわれているかを確認するなど、4時の終了時間まで有意義に時間を使っていただきます。赤ちゃんの体重増加が思わしくない方には、小児科医師とも相談しながらミルクや母乳の調整をすることもあります」といいます。

 産後ケア利用者の多くは札幌病院で出産していて、職員は利用者の今までの経緯を知っています。1人の利用者に助産師が1人つきます。

 田村唯さん(19歳・仮名)が妊娠したとき、パートナーは父親になる覚悟がなく困惑していました。札幌病院の職員が唯さんとパートナーの相談にのりながら、なんとか出産することができました。パートナーは産後の健診にもいっしょに来てくれるようになりました。そして産後ケアに来たとき、「今日、ここで婚姻届けを書きたい」と、職員たちの前で届出用紙に記入。唯さんたちは「同じ名字になったら、またこの子を見せに来るね」と嬉しそうにしていました。

 妊娠から出産、結婚までを見届けた助産師は、「突然妊娠して戸惑っていた2人が母親と父親らしく成長する姿をみて感動しました。2人の母親になったような気持ちです。コロナ禍もぁり、産後ケアがなかったら産後の様子がわからなかったと思うので、やってよかった」と話します。

 子育てが難しく育児放棄の可能性がぁるシングルマザーには、保健センターなどと連携して、地域ぐるみで関わっています。病棟助産師主任は「産後の息抜きや相談ができることを多くの方に知ってもらい、気軽に利用していただきたいです」と話します。