北海道勤医協は統一地方選挙にあたり、医療と介護事業を行う法人として、政治や行政の力なくして解決できない課題にどのように向かうお考えか、北海道知事、札幌市長に立候補を表明している方にお聞きする書面を送りしました。5氏から回答がありました。あらかじめホームページで公開する旨、お伝えしていましたので、ご紹介いたします(質問文全文は末尾に掲載しています)。回答をいただいたのは木幡秀男さん、高野馨さん、秋元克広さん(以上札幌市長選挙予定)、池田真紀さん、鈴木直道さん(北海道知事選挙予定)の5氏です。各質問における掲載順は選挙別・到着順です。回答原文のまま掲載しています。
要望1 新型コロナウイルス感染症から住民のいのちを守る対策の強化を求めます。
- (木幡氏・札幌市長選)新型コロナウイルス感染症に対する医療機関、介護事業所、障がい者施設をはじめ福祉施設の皆様の献身的なご奮闘に心から敬意と感謝をもうしあげます。新型コロナウイルス感染症のパンデミックはこれまでの政府や北海道、札幌市の公衆衛生、感染症対策の脆弱さを露呈させました。保健所の拡充、保健師など関係職員の大幅な増員が求められています。医療、介護、福祉施設に対しては不足している報酬の引き上げを行い新たな感染症に備えることができるようにしなければなりません。「5類」となっても引き続き財政支援は継続・拡充すべきです。
- (高野氏・札幌市長選)令和5年度の札幌市の当初予算(骨格予算)では、コロナ対策としてかなり多額の予算を計上していますが、 原局の予算要求が昨年の10月頃にまとめられたものであるため、計上された内容自体が時宜を得たものではなく、今の現状に適応しておりません。つまり、ワクチン接種や自宅療養の患者のための飲食品の提供などに多額の予算を計上しているところであります。したがって私は、国とも折衝しながら、他の用途に予算を弾力的に流用、転用する方向で、ご要望にある対策の強化に応えていく所存です。
- (秋元氏・札幌市長選)いざという時に迅速に高度な医療を受けられる、医療充実都市をめざして、保健所の機能を強化するとともに、医療機関等とも一層連携して、パンデミック等の脅威にも即応できる医療体制を整えていきたいと考えている。また、医療機関や高齢者及び障がい者施設等への必要な支援に関しては、指定都市市長会を通じて国への要望を行っているほか、介護人材の確保に係る取組への支援に関しては、札幌市独自に国への要望を行っている。
- (池田氏・北海道知事選)道庁内に「北海道医療・介護バックアップセンター」(仮称)を創設し、緊急時でも診療や事業が継続できるよう、医療機関・介護事業所への人材応援、経営支援を実施します。
- (鈴木氏・北海道知事選)【新型コロナウイルス感染症への対応】 国では、国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがある新たな感染症の発生などに備えるため、昨年末に感染症法を一部改正したところであり、平時からの備えが重要との認識の下、病床や発熱外来等の確保に加え、保健所の体制整備や、人材育成なども盛り込んだ次の感染症予防計画を策定することとしています。 国の動向を注視しつつ、医師会等の関係団体などで構成する協議の場等も活用するなどして、一層、地域との連携を深めながら、感染症危機管理対策に取り組んでいきます。【医療機関への財政支援】 令和4年度に、電気料金の高騰により多大な影響を受けている医療機関に対し、電気料金の上昇率などを考慮の上、施設の運営形態や規模に応じて支援を行ったところです。 また、医療施設については、公定価格により運営されており、物価の高騰等による経費の増大分をサービスの対価に転嫁することができないことから、継続的なサービスの提供に支障のないよう、公定価格に適切に反映することなどについて、国に要望を行っているほか、全国知事会においても臨時的な公的価格の早急な改定などの対策を講ずるよう要望しており、今後とも道民の皆様の命と暮らしを支える重要な基盤である医療サービスが安定して提供されるよう取り組んでいきます。【介護事業所への財政支援】 介護サービス事業所は、物価高騰等による経費の増大分をサービスの対価に転嫁することが困難なことから、大変厳しい経営状態となることが懸念されており、その負担軽減に向け対応していくことが重要と認識しています。 令和4年度に、物価高騰の影響により電気代の負担が増加している介護サービス事業所・施設等に対し、臨時的かつ緊急的な支援を行ったところです。 また、継続的なサービスの提供に支障がないよう、国の責任において臨時的な支援を早急に実施するとともに、積雪寒冷といった本道の地域特性も踏まえ、安定的な経営が行われるよう、公定価格への適切な反映について国に要望しています。
要望2 2024年度からの介護保険制度見直しの撤回について国へ要望していくことを求めます。
- (木幡氏)介護保険制度は無償であるべきと考えています。介護報酬は利用者の負担増なしで拡充すべきです。介護保険制度の改悪は認められません。介護保険料は払える保険料にすべきです。そのための国の財政拠出の拡大を求めます。
- (高野氏)介護保険制度についてですが、実は私の94歳になる母が静岡県の函南町に住んでおり介護保険の給付を受けていますが、老化や認知症の悪化により、要介護基準の区分変更が必要になり、そのための手続きやケアマネやへルパーの確保などのために昨年は長期間静岡滞在を余儀なくされました。そもそも介護保険を利用する壁が高く、正に「保険あって給付なし」という言葉を実感しましたし、どのような給付を受けられるのかを勉強するのも大変でしたし、いざ給付を受けるとなると事務手続きが煩瑣であり、家族や知り合いの多大な手助けが無ければ機能しない保険制度だと痛感したところです。実際、私の父は長年保険料を払いながら、結局、介護保険の適用を受けることもなく亡くなりました。こんな利用のしづらい介護保険制度をさらに改悪するなどというのはもってのほかで、私は(自分自身の経験からも)決して容認することは出来ませんし、見直しには断固反対し国に撤回を求めてまいりたいと考えております。
- (秋元氏)「サービス利用者のうち2-3割負担の対象拡大」については、サービスを利用する高齢者の負担の増大につながり、それによる利用控えも懸念される。必要な方が必要なサービスを受けられることが重要であり、国には慎重な議論を求めていきたい。「老健施設など多床室の室料に自己負担導入」については、制度間の公平性や均衡等を踏まえつつ、現状に照らしてどのような形がふさわしいのか考えていく必要があり、当面は状況を注視していきたい。「ケアプランの有料化」については、ケアプランはケアマネージャーが、高齢者や家族の要望や状況を把握し適切な介護サービスを利用し、より自立した生活が送れるようにするための「設計図」である。このケアマネジメントは介護保険制度の根幹をなすもので、有料になると、高齢者や家族がケアマネへの相談を控え、本来必要となっているサービスを受けられなくなる懸念があるため、国には慎重な議論を求めていきたい。「要介護1・2の生活援助サービスは保険給付の対象外」(総合事業への移行)については、総合事業は市町村によってサービス内容や担い手などの差異が大きく、制度そのもののあり方が不安定であるため、さらに対象を拡大することは、利用者とサービス提供者の両方に混乱を招く恐れがあるため、国には慎重な議論を求めていきたい。「保険料支払の対象拡大」については、介護保険のほか医療保険等に関する負担、年金収入の水準などトータルで考える必要があり、介護を社会全体で支え合う制度として、財源負担のあり方や資力に応じた負担のあり方など、制度の持続可能性が確保されるよう検討が行われるべき。
- (池田氏)介護保険財政とサービスをセツトで考える必要があります。そもそも介護保険は保険制度として機能していません。当初の理念が果たせるよう、介護保険制度と社会保険制度としての施策が機能するよう抜本的な見直しが必要と考えます。
- (鈴木氏)国の社会保障審議会介護保険部会において、介護保険制度について検討が行われており、高齢者の利用ニーズの増加に対応した支援の充実が求められる中、要介護者やご家族を支えるサービスのあり方については、利用者の視点に立って慎重に議論されるべきと考えています。 高齢者人口の増加に伴い、今後も介護費用の増大が見込まれる中で、介護保険料の上昇を抑えつつ制度が持続できるよう、給付と負担のバランスについて十分な検討を行った上で、国費の負担割合の引き上げや介護保険料や利用者負担の軽減など、低所得者対策の一層の充実を図るとともに、介護サービスを必要とする方々が適切にサービスを受けることができるよう、今後も必要に応じて国に働きかけていきます。
要望3 昨年10月から実施された75歳以上の医療費負担一部2割化の撤回について国へ要望していくことを求めます。
- (木幡氏)保険料は支払えず保険証がなかったり、お金がなくて病院にかかれず手遅れになって亡くなる事例が後を絶ちません。そんな痛ましいことを野放しにできません。健康保険制度の一部負担は、保険料の二重払いにあたり、無償とするべきと考えます。後期高齢者医療制度など年齢で医療が差別されていることも認められません。国民健康保険料、後期高齢者医療制度は払える保険料にすべきです。そのための国の財政拠出の拡大を求めます。
- (高野氏)75歳以上の後期高齢者の医療費負担増には反対します。この物価高において今の年金水準では、高齢者にとって医療費の負担感がさらに増しているはずであり、政府はこの物価高により国税(消費税)収入が莫大に増えるわけですから、その分を高齢者医療費の補てんに回すべきです。以上から、医療費負担増の撤回について国へ要望してまいります。
- (秋元氏)一部の75歳以上の方について昨年10月から医療費の自己負担が2割となっているが、これは国政の場において議論が行われ決定されたものと承知している。高齢者の方がいつまでもお元気で暮らしていただくためにも、必要な医療が受けられなくなることはあってはならないと考える。国に対しては、こういった観点を踏まえ、必要な要望を行っていく。
- (池田氏)保険料賦課限度額の引き上げによる後期高齢者保険料の応分負担の強化と一部国費による現役世代の負担軽減が重要と考えます。
- (鈴木氏)団塊の世代が後期高齢者となる中で、現役世代の保険料負担の上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築するという趣旨のもとで、令和4年10月より制度改正が 行われ、一定程度以上の所得のある方の窓口負担が2割とされたところです。 制度改正にあたっては、高齢者にとって必要な受診が抑制されることがないよう、長期にわたる通院が必要な方など2割負担への変更による影響が大きい外来患者について、制度施行後3年間は、1ヶ月分の負担増を最大でも3千円に収まるよう配慮措置が設けられており、今後とも、北海道後期高齢者医療広域連合と連携し、制度の周知徹底に努めていきます。
要望4 子ども医療費窓口負担の無料対象について、高校生までの拡大を求めます。
- (木幡氏)3項でもお答えしました通り、一部負担はなくするべきと考えています。当面、高校卒業まで無償にします。
- (高野氏)子ども医療費の無料化については、私の公約で高校生まで所得制限無しで無料化を実施するとしています。財源は市の一般財源を充てる予定ですが、岸田首相の言う「異次元の少子化対策」の中で、子ども医療費に係る新たな地方特例交付金の創設を求めてまいります。
- (秋元氏)子ども医療費の助成については、市町村によって助成の内容に差が生じることは好ましいことではなく、原則的には国が一律に実施すべきであり、国に対しては引き続きその旨を要望していく。しかし、経済状況によらず安心して子育てができる環境をつくるという観点から、先んじて札幌市独自の支援として、現在は小学校6年生までの子ども医療費助成を拡大することも必要と考えている。具体的な拡大の範囲及び時期については、制度の持続性や財政状況等を勘案した上で、総合的に判断したい。
- (池田氏)「子ども・子育てアクシヨンプラン」(仮称)を策定し、高校生までの医療費等の実質無料化を計画的に実現します。
- (鈴木氏)子育て世帯の経済的負担の軽減を目的に、昭和48年に乳幼児等医療給付事業を創設し、実施主体である市町村等に助成を行っており、道内では全ての市町村が医療費助成を実施しています。 各自治体が様々な観点で独自措置を講じている中、これまで国に対し、全国一律の助成制度創設を求めてきており、今後とも、全国知事会とも連携しながら、あらゆる機会を通じて要望していきます。
要望5 調剤薬局におけるくすり代を含めた無料低額診療事業について国への要望を求めます。また、制度が改善されるまでの間、各自治体においてくすり代自己負担分の減免の実現を求めます。
- (木幡氏)3項でお答えした通り、一部負担はなくすべきです。当面、国に保険調剤薬局が無料低額制度の適用となるように要望し、適用されるまでは札幌市として助成します。
- (高野氏)低所得者等に対する無料低額診療事業については薬代の負担が’減免にならないのでは意味が無いと考えています。今後は、国への制度改善はもとより、札幌市独自の助成制度の実現を検討したいと思います。
- (秋元氏)現状では、無料低額診療事業により受診したものの、保険調剤薬局において経済的な理由で調剤を受けられず、治療が継続できなくなる事例があると承知している。無料低額診療に係る調剤のあり方については、国における検討状況を注視しているところであり、生計困難者の方々に必要な医療が確保されるよう、国に働きかけていきたいと考えている。
- (池田氏)札幌市を想定した質問ならば、回答は控えます。(生計困難者の健康を守るため、まずは実態を把握し、必要な対応を検します。)
- (鈴木氏)無料低額診療事業は、低所得者や要保護者などの生計困難者が必要な医療を受ける機会が制限されることがないよう、病院又は診療所において、無料又は低額な診療を行う事業として、社会福祉法の規定により、第二種社会福祉事業に位置付けられています。 院外調剤は、第二種社会福祉事業には位置づけられておらず、国において事業のあり方等について検討しているところであり、国の責任のもとでの制度化について要望しています。
要望6 福祉灯油の助成を求めます。
- (木幡氏)100を超える陳情、200人を超える市民が札幌市庁舎を取り囲んだ街頭宣伝など切実な市民の要望に応えなかった秋元市政に憤りを覚えます。福祉灯油を実施します。
- (高野氏)福祉灯油については、札幌市は世帯数が多いことを理由に実施しておりませんが、私は公約で’福祉灯油の実施を掲げています。ウクライナ戦禍や折からの物価高で灯油価格はさらに上昇していく畏れがあり、特に低所得の高齢者には多大な負担になってきています。私が市長になった場合は、必ず福祉灯油の制度を実現します。
- (秋元氏)福祉灯油に限らず低所得世帯等への支援は必要と考えるが、一時的な生活支援に留まることなく、根本的な解決には、企業収益や給与を始め社会全体の所得を増やす必要があり、そのための対応を国への要望を含め柔軟かつ機動的に実施していく。
- (池田氏)札幌市の施策についての質問につき、回答は控えます。(北海道では地域づくり総合交付金によって各市町村の福祉灯油事業を助成していると承知しており、今後も必要な支援を継続・強化していきます。)
- (鈴木氏)これまで低所得の高齢者世帯などを対象に、冬期間の燃料費などへの助成を行う市町村を支援する「福祉灯油事業」を実施してきたところです。 こうした中、令和3年秋以降の灯油などの燃料価格の高騰は、特に所得の低い方々にとって、生活を送る上で大きな不安になっているものと認識しており、令和3年度及び令和4年度の市町村への交付基準額を特例により1.5倍に引き上げています。 また、より多くの市町村において福祉灯油事業に取り組んでいただけるよう、事業を実施している市町村の助成金額や方法などを情報提供するとともに、事業の実施を求める文書の発出や市町村との電話対応の機会なども活用しながら、働きかけを行っています。
要望7 すべての看護職員の処遇改善と看護体制の拡充を求めます。
- (木幡氏)医療機関の皆様の献身的なご奮闘に心から敬意を表します。看護師をはじめとした医療従事者の劣悪な処遇は診療報酬の引き下げもよるものです。患者負担につながらない診療報酬の引き上げが求められます。とりわけ医師、看護師の不足は地域医療に大きな損失となります。国に打開策を求めるとともに札幌市として医療機関の皆なさまと協議し財政をはじめ必要な対策を講じます。
- (高野氏)看護職員に限らず、保育士、介護士など、とにかくこうした肉体労働を伴う職員の労働職や労働条件は悪く、このままでは従事する者は減少し続ける畏れがあります。したがって看護職員の処遇改善はもとより、これらの肉体労働を伴う仕事に従事する全ての方々の処遇改善に向けて国に働きかけてまいりたいと考えております。
- (秋元氏)看護職員処遇改善評価料については、コロナ医療など一定の役割を担う医療機関において、看護職員等の賃金改善をルールに沿って行った場合に、診療報酬上の加算措置を行うものであり、看護師の処遇改善に向けた国の取組として一定の評価をしているところ。 今後について、国の動向にも注視しながら、医療従事者の方々の良好な勤務環境の確保に向け、国に働きかけていきたいと考えている。
- (池田氏)看護職員の処遇改善は喫緊の課題と認識しています。「北海道介護・医療バックアップセンター」における取り組みに加え、「北海道医療勤務環境改善支援センター」を活用して、看護職員の処遇改善に一層取り組みます。
- (鈴木氏)地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象として、看護職員等処遇改善事業を実施し、令和4年10月からは、「看護職員処遇改善評価料」が診療報酬において新設され、引き続き、各医療機関において、看護職員の処遇改善に向けて取り組まれているところです。また、国において、看護師のキャリアアップに伴う処遇改善のため、医療職俸給表(三)級 別標準職務表の改正が行われたことから、各保健所を介して、医療機関の長に対し、改正内容を踏まえつつ看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の推進について検討いただくよう通知しているところであり地域偏在の是正と看護職員の処遇改善が図られるよう、国に要望していきます。
要望8 核兵器禁止条約の批准について国に求めていくことを望みます。
- (木幡氏)唯一の被爆国として核兵器廃絶、武力よらない紛争の解決に尽力すべきです。核兵器禁止条約の署名、批准を強く国に求めます。平和都市宣言の札幌市にふさわしい平和活動、教育にとりくみます。
- (高野氏)昨年、札幌市は「平和都市宣言」をして30周年を迎え各種の記念事業を実施しましたが、私は核廃絶に向けての取組としては物足りないと感じております。したがって、唯一の被爆国として核兵器禁止条約に批准、署名するのは当然の義務で’あり、米国の核の傘にあるという理由で署名しないのは時代遅れと考えます。ただし、日本海を挟んで対峙する好戦的な北朝鮮や中国、そしてロシアの脅威は厳然たる事実であり、それらの国にどう向き合うのかについては、国民全体の問題として真剣に議論する必要があると思います。
- (秋元氏)核兵器の廃絶は、最初の被爆国である日本をはじめ、今や全世界の人類共通の願いであると思うが、条約の取扱いに関しては、国会において議論されるべきと考える。
- (池田氏)日本の核兵器禁止条約への署名と同条約への批准に賛成しています。一日も早く、核兵器のない世界をつくっていきたいものです。
- (鈴木氏)我が国の立場は、核兵器のない世界の実現に向けて、核兵器の非人道性と安全保障の二つの観点を考慮しながら、現実的かつ実践的な核軍縮のための措置を着実に積み上げていくことが重要であるというものと認識しています。 核兵器のない平和な社会の実現に向けて、世界の国々や地域が協調しながら、引き続き、取組を続けていくことが重要と考えています
質問全文
〇要望1 新型コロナウイルス感染症から住民のいのちを守る対策の強化を求めます。
この間の市中感染の広がりにより、医療機関・介護事業所では、感染や濃厚接触で勤務に就けない職員が多数発生し、提供体制が縮小する事態となっています。ひとたびクラスターが院内や施設内で発生すれば、診療や事業を縮小・休止せざるを得ません。医療・介護従事者を守り、提供体制を確保する点からも引き続き感染対策が必要です。
国は「5類」への移行を表明し検討をすすめていますが、移行により、感染者や濃厚接触者の行動自粛要請の撤廃、治療費公費負担の縮小による受診控え、補助金および診療報酬特例の段階的減額による医療機関や事業所縮小の可能性などが想定され、さらなる感染拡大や医療ひっ迫が危惧されます。
住民が安心して医療にアクセスするための保健所体制の拡充や医療提供体制の構築、新型コロナウイルス感染者および通常診療患者の適切な受け入れを可能とする人材確保、物価高騰とも相まって深刻な経営難に陥っている医療機関・介護事業所への財政支援および国に対して診療報酬制度の改善を要請していくことを望みます。
〇要望2 2024年度からの介護保険制度見直しの撤回について国へ要望していくことを求めます。
国は、2024年度からの介護保険法の見直しにむけて、「サービス利用者のうち2~3割負担の対象拡大」、「老健施設など多床室の室料に自己負担導入」、「65歳以上の高所得者の保険料引き上げ」、「ケアプランの有料化」、「要介護1・2の生活援助サービスは保険給付の対象外」、「保険料の支払い対象を40歳
未満にも拡大」など検討しています。このうち一部は実施を先送りすることが公表されましたが、現行の制度でも「保険あって給付なし」の実態があり、これらの見直しが実施されればコロナ禍で疲弊し物価高騰に苦しむ高齢者や家族はさらに負担を強いられ、サービス利用控えから状態悪化につながることが懸念されます。
介護保険制度の見直しについて国へ撤回を求めていくことを望みます。
〇要望3 昨年10月から実施された75歳以上の医療費負担一部2割化の撤回について国へ要望していくことを求めます。
当法人の上部団体である北海道民医連では、1割から2割に負担が増えた75歳以上の高齢者を対象にアンケート調査を行い、11月中旬から12月中旬に当法人を含めた全道の医科、歯科、薬局を受診された334名の回答を集計した結果、「負担感を実感した」が53%、「通院に影響が出る」が52%にのぼることが明らかになりました。経済的な理由により、必要な医療が受けられない事態が、さらに拡大、深刻化することが懸念されます。
年金削減や物価高騰に追い打ちをかけるこの度の医療費負担増の撤回について、国へ要望していくことを望みます。
〇要望4 子ども医療費窓口負担の無料対象について、高校生までの拡大を求めます。
コロナ禍の影響もあり、ひとり親世帯をはじめ多くの子育て世代の生活困窮や子どもの貧困が深刻化しており、コロナ以前から問題となっている少子化もさらに拍車がかかっています。
そもそも子どもは病気にかかりやすく抵抗力が弱いため、重症化することが多く、子どもの病気の早期発見・早期治療を支え、すべての子どもの健やかな成長を保障するために医療費の心配を無くすことがますます重要になっています。
ここ10年間で、自治体が実施する子ども医療費助成制度は、対象年齢を高校卒業までとする自治体が入院・通院とも4割を超えるなど大きく拡充されてきましたが、道内では札幌市をはじめ小学校卒業(一部中学校卒業)までしか助成を受けられない自治体が存在します。国に対して18歳年度末までを対象とする医療費窓口負担無料制度の創設を求めるとともに、自治体独自による制度拡充を望みます。
〇要望5 調剤薬局におけるくすり代を含めた無料低額診療事業について国への要望を求めます。また、制度が改善されるまでの間、各自治体においてくすり代自己負担分の減免制度の実現を求めます。
当法人は、社会福祉法に基づく第二種社会福祉事業として無料低額診療事業を実施しています。同事業は、「低所得者」「無保険者」「ホームレス」「DV被害者」など生計困難者に対し無料または低額な料金で診療をおこなうものです。2021年度、当法人では入院および外来診療2,475人にこの制度を適用しました。
しかし、現制度は保険調剤薬局では適用にならないため、病院負担を免除できても薬局では負担が生じてしまい、その結果くすりを受け取らない事例やくすりを間引きする事例が発生しています。国への制度改善を求めるとともに、すでに苫小牧市や浦河町が実施しているような自治体独自の助成制度の実現を望みます。
〇要望6 福祉灯油の助成を求めます。
当法人の上部団体である北海道民医連が今年1月に、道内にお住まいの在宅患者、介護保険制度利用者で 65 歳以上の生活保護世帯又は経済的に困難を抱えている独居高齢者、高齢夫婦世帯(無料低額診療利用世帯・社福負担軽減制度利用世帯)134世帯を対象に行った冬季高齢者実態調査では、室温20℃以下で生活されていた方が20世帯もおられ、そのうち10℃以下が10世帯にのぼりました。
WHO(世界保健機関)からは、室温18℃以下の住環境における心疾患などの健康被害について勧告も出されており、放置できない状況であるにも関わらず、道内では札幌市のみ助成を行っておりません。いのちにかかわる問題であり、早急な対応を望みます。
〇要望7 すべての看護職員の処遇改善と看護体制の拡充を求めます。
コロナ禍では、看護現場の労働実態はより一層深刻さを増しており、多くの矛盾や困難がひろがっています。看護現場にひろがる困難は、国民、患者にとって安全・安心・信頼につながる環境が損なわれるということでもあります。安全・安心・信頼の医療を保障するために、看護労働の改善は喫緊課題です。
とりわけ、2022年10月からの診療報酬改定において新設された「看護職員処遇改善評価料」は、一部の職員にしか適用されず不十分であると言わざるを得ません。すべての看護職員の処遇改善について、国へ要望していくことを望みます。
〇要望8 核兵器禁止条約の批准について国に求めていくことを望みます。
当法人は、「人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります」という綱領を掲げています。いのちを守る医療従事者にとっての最大の敵は、一瞬で多くのいのち奪い去る戦争です。昨年の12月に国が閣議決定を行った安保関連3文書は、敵基地攻撃能力の保有など戦争に巻き込まれる危険性を高めるものにほかならず、改憲には反対の立場です。
2023年1月9日現在、核兵器禁止条約に署名した国は92か国にのぼり、国連加盟国の約半数が条約に署名している中、本来核兵器のない世界にむけてリーダーシップ発揮の役割が求められている日本は、世界で唯一の被爆国であるにもかかわらず未だ署名に応じていません。
札幌市のホームページでは、「平成4年3月に、人々が等しく平和に暮せる世界の実現を願って、『札幌市平和都市宣言』を行い、この宣言に基づき、核兵器の廃絶と世界平和の実現について考える機会とするため、さまざまな普及啓発に関する取組を進めています。」と記されています。地方自治から積極的に国に条約の署名や批准を求めていくことを望みます。